公正証書

公正証書とは

公正証書とは、法律の専門家である公証人が法律の規定に従って作成する文書です。作られた公正証書は公文書(国や公務員が職業上作った文書のことです)として扱われます。公証人が内容を確認し、書面にするという手続を行ないますので、証拠としての価値が強化されます。
当事者で合意した内容も、公正証書とすることができます。公正証書は公証役場で保管されますので、偽造などの可能性が低く、あとあともめた場合に、合意があったということを強く証明することが出来ます。

強制執行認諾約款とは

合意を証拠として残すということも公正証書の目的の一つですが、公正証書にはもう一つ大きな目的があります。それは債務名義の取得です。
公正証書は、「強制執行認諾約款(執行受諾文言とも言います)」をつけることによって債務名義となります(民事執行法22条5号)。つまり、この約款を付けた公正証書は、判決文などと同じ債務名義として扱われるのです。万が一合意に従った支払が行われない場合には、訴訟などの手続を踏まなくても、公正証書を債務名義として強制執行が可能となります。

この強制執行認諾約款とは、合意内容の一部として

  1. 「契約違反などがあった場合には、強制執行をされても異議がないものとする。」

という約款(=文言)を盛り込むことです。

この約款があることで、公正証書は強制執行を行えるという非常に強力な効果を持つことになります。支払が滞った場合には裁判手続などを行わずに即座に強制執行が出来ので、債権回収の心強い味方になるでしょう。

公正証書を作成するときの注意点

このように、債権回収にとってとても効果的な公正証書ですが、作成にあたってはいくつかの注意点があります。

まず、公正証書を作成するためには、公証役場で書面を作成することが求められます。公証人の関与が必要となりますので.当事者だけで作ることは出来ません。

さらに、公正証書が債務名義としての効力を持つのは、一定の範囲に限られます。
公正証書が債務名義となるためには、内容が金銭の支払などであることが必要です。内容が金銭の支払ではない、例えば家屋の明渡しなどは公正証書にしても債務名義とはなりませんのでご注意下さい。

当事者で合意ができており、さらには、上で述べたような条件を満たす場合には、公正証書を作成することをおすすめ致します。