少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払の請求について、通常の訴訟よりも簡易・迅速な解決を図ることができる制度です。
支払督促と同じく、通常の訴訟よりも簡単に、素早く判決(債務名義)を取得することが可能です。
少額訴訟の審理は、通常の法廷とは異なり、円卓を当事者や裁判所関係者が取り囲む形の小さな法廷(ラウンドテーブル)で行われ、原則として第1回目の期日で審理が終了します。
少額訴訟は、このように簡単に、素早く出来る手続です。
しかし、その反面、独自の制限(デメリット)があります。
まず、少額訴訟を利用出来るのは、60万円以下の、金銭の支払を請求する方のみです。
つまり、簡単に判断できるものが対象であり、請求額が大きく、影響が大きな事件では利用できませません。
また、少額訴訟はいわば簡易な手続で裁判が出来る優遇された手続ですので、濫用(使い過ぎ)を防ぐ意味で、同一の裁判所において年10回までという回数制限があります。
訴訟の進行に関しても、次のような制限があります。
取り調べ可能な証拠が限定され、判決に対して控訴ができません。
相手方が通常訴訟での審理を求めた場合、通常訴訟に移行します。
原告の請求を認める判決がされる場合、裁判所は職権で3年までの分割払いを命じることができます(裁判所が独自の判断で分割払いにしてしまう可能性があります)。
以上のことから、少額訴訟を利用したほうが良いのは、以下のような条件を全て満たす場合です。
逆に言うと、上記のような条件を満たさない場合、少額訴訟によるメリットはそれほどありません。少額訴訟に行うよりも、別の手続を検討したほうが良いでしょう。
こうした判断は一般の方には難しいですから、判断に迷う際には、裁判手続の専門家である弁護士にご相談ください。