債権回収とは

債権とは

債権とは、特定の人に一定の行為を請求出来る権利のことです。現実には、債権とは金銭の給付を請求する権利、すなわちお金を払ってもらう権利をさすことが多いです。貸したお金を返してもらう権利や、納めた商品代金を支払ってもらう権利、これが債権です。債権を持っている人の事を「債権者」、債権者にお金を支払うべき立場にいる人を、「債務者」と言います。

債権は保証契約など一部の例外を除いて原則として、契約当事者間の合意のみで発生します。契約書の作成は、契約の存在を証明する上では重要な証拠ですが、契約、ひいては債権発生の必要条件ではありません。
債権者の求めに応じ債務者が任意に支払をすればなんの問題もありませんが、何らかの事情で債務者が支払をしない場合、債権を強制的に実現することが必要になってきます。

そこで、支払がなされていない債権について、交渉や法的手段を駆使して実現を図る手続、これを債権回収といいます

債権回収について

この債権を回収するということは、簡単に言ってしまうと「お金を取り立てる」ということです。
債権回収は、次の3つの段階に分かれます。

任意交渉段階

債権回収では、まず債務者に働きかけ、債務者が自分から支払うように促すことが考えられます。

債務者は何らかの事情であなたに支払をしていませんが、もしかすると支払を忘れているだけなのかもしれません(無論、それはそれで失敬なことなのですが…)。そこで、債務者に連絡をとり、支払を促して債権を回収していくことが必要なのです。

また、債務者と連絡をとり、交渉をすることによって、現在の債務者の状況を知ることが出来ます。そうすることで、債務者の状況に応じた対応が可能となります。今は支払ができないが近いうちにまとまった入金の予定があり、支払時期を遅らせてくれるのならば支払える、という債務者もいるでしょう。この場合、支払時期を遅らせること・確実に支払をすることを証拠として残し、後の債権回収を容易にすることも手段の一つです。

法的交渉段階

債務者が任意の交渉に応じ、支払をしてくれれば問題はないですが、債務者が交渉に応じず、または応じたとしても支払をしない場合には、法的手段に出る必要があります。法的に自分に権利がある,ということを認めてもらい、債務者に支払を促すのです。

ひとくちに法的手段といっても、通常の裁判(訴訟手続)に限らず、その他にも利用できる手段があります。そして、それぞれの手続には様々なメリット・デメリットが有ります。そこで、ポイントとなるのは、それぞれの事情に応じた、適切な方法を選択することにあると言えるでしょう。
なお、法的交渉が終了し、裁判であれば判決が出たとしても、債務者が支払をするとは限りません。判決には、「権利がある」ということを確認する働きはありますが、「強制的に債務者から取り立てることを可能にする」働きはありません。したがいまして、債務者に強制的に支払ってもらうためには、引き続く強制執行段階に進む必要があります。

強制執行段階

最後に、実際に認められた権利を実行に移す段階になります。強制執行では、債務者の財産を差し押さえ、これを強制的に換価(お金に変えることです)した上で、債権者に分配します。ここでいう、差押えというは、「自分のものではあるが、自由な処分を禁止すること」という意味でとらえてください。

基本的に強制執行手続は、裁判所の監督のもとにすすめられます。同じ財産を差し押さえた債権者が多数いる場合には、各債権者の債権額に応じて分配が行われます。

なお、債務者に財産がない場合には強制執行を行うことはできません。この場合、債権回収は最終的に空振りで終わってしまうことになります。ですので、債権回収を行う場合には、「強制執行可能な財産があるかどうか」を調査することも重要な要素となります。

同様に、裁判所の関与のもとで債務者の財産を差し押える手続に、「民事保全」手続があります。民事保全手続は、裁判など権利の判断に時間がかかる場合に、裁判期間中、債務者が財産を処分することを禁じる制度です。この制度によって、裁判中に財産隠しなどをされないようにすることが可能となります。但し、この民事保全手続は、債権者の権利が有るか無いか判断する前に、債務者の財産処分を禁じるという重大な効果を認める手続ですので、申し立てる債権者に対しては担保の提供を求められるのが一般的です。


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