未払賃金・残業代

賃金の未払い

賃金は、就業規則や労働契約であらかじめ支払日や支払額が決められていますが、景気が悪く、雇用主側の運転資金が追いつかない場合などには、従業員に支払う賃金(給与)が遅れてしまうことがあります。

遅れること自体でも労働基準法に違反する状態なのですが、すぐに支払があれば、従業員に生じる被害はまだ大きくありません。

しかし、賃金が支払われないままに長期間が経過すると、従業員は生活に行き詰ってしまいます。

賃金の未払いは放置できない深刻な問題です。

未払残業代

残業代の未払いも大きな問題です。

本来、就業規則などで定められた所定労働時間を超えて働いた場合(時間外労働)には、通常の賃金より25%~50%上乗せされた賃金(割増賃金)を支払うことが、法律で決まっています。

しかし、雇用主は「会社も大変なときなので、残業代を出せない」「営業手当を支給しているので、残業代は支給しない」「この業界では残業が当たり前」等の理由で、本来支払われるべき残業代を支払わないことがあります。

残業代が支払われていない期間が長い場合、未払いの残業代が大きな額になることも少なくありません。

未払賃金・未払残業代回収のポイント

賃金や残業代は法律で認められた労働者の権利ですが、従業員は雇用主より立場が圧倒的に弱く、自分に権利があると分かっていても、積極的に請求することは難しいのが実情です。

このようなことから、未払賃金・残業代の問題は表面化しにくいという性質を持っています。

一方で、賃金や残業代は、他の債権に比べて法律上は優遇されており、様々な回収手段があります。

判決などの債務名義が無くても強制執行が可能であり、その効果は絶大です。

しかし、手続はとても複雑ですので、普通の方が仕事をしながら手続を行うのは非常に難しいものです。

そこで、必要な手続は専門家である弁護士に任せ、あなたは仕事に打ち込むことがベストであると言えるでしょう。

未払賃金の回収事例

仙台市宮城野区にお住まいのM・Tさん(27)

相談者はフランチャイズ店の店長をしていましたが、経営難から本部の方針で、勤めていた店舗が閉鎖になりました。

閉鎖の数ヶ月前からは給与が支給されておらず、生活できずに困っているので、何とか支払ってもらいたいということで相談を受けました。

このケースでは、相談者自身が何度も本部に催促しているため、これ以上催促しても良い結果は得られないと判断し、すぐに会社の財産を差し押え、給与の回収を図ることにしました。

相談者は一人で店舗を運営しており、勤務を証明する証拠の収集が難しかったのですが、タイムカードや業務日誌などから勤務実績を証明し、本部の預金口座を差し押さえることに成功しました。

相談者は全額の給料が回収できましたが、その後会社は倒産してしまいました。

あと少し相談が遅れていたら、全く回収できなかったかもしれません。

従業員に対する賃金の支払が滞る会社はそのうち倒産する可能性が高いと言えますから、未払賃金を放置していると、どんどん回収の可能性が低くなっていきます。

早めに弁護士といった専門家にご相談ください。